::: デートDV チェックリスト :::

山口 のり子著 『愛する、愛される』(梨の木舎)  P.20・40・44より

山口のり子   ”aware”

『DVというのは親密な関係にあるパートナーに対してふるわれるからだや心への暴力のことです。
これはけっしておとなだけの問題ではありません。

若者の間でもおきています。

セックスをするまではおきない暴力が、親密な関係になったとたん、身体的・精神的、性的など
さまざまな形でおきることがあります。

そのような暴力を「デートDV」と呼びます。

DVもデートDVも、人権侵害にあたる行為であり犯罪です。
好きになったたいせつな人を深く傷つけ、ふたりの関係を破壊する行為です。』著書より


山口さんは、アウェア/aware というDV加害者男性たちのためのプログラムを
NGO(民間機関 東京)で実施している方です。
引用させていただいた本は、10代の人たちが、お互いを認め合い、
尊重し合って、「愛し、愛される」ためには何が必要なのか共に考えたい、という視点で作られています。

以下に著書『愛する、愛される』より
「あなたの意識をチェックしよう」「自分の態度行動チェック」「相手の暴力的態度の見分け方」
の三つのチェックリストをご紹介します。

●あなたの意識をチェックしよう●

 以下の内容は全て間違っています。(中略) こういう間違った思いこみは昔から社会にあふれています。(中略)
 間違っているとわかったら、自分の認識を改めることが必要です。
 それがDVをなくすための第1歩です。
DVなんておとなにしかおこらない。
デートDVなんて高校生におきていない。
デートで暴力をふるわれる女の子なんて少ない
おきたとしてもきっと1回だけだ。
望んでいないのにセックスする女の子なんていない。
一度セックスしたら「彼女は俺のものだ」と思っていい。
デートでレイプされる子なんて自分が悪い。
暴力はお互いに嫌いになって別れそうになったときおきる。
暴力をふるうのは相手を好きじゃないからだ。
10 暴力をふるわれる理由が女の子の方にある。
11 うんと親しくなれば、女の子がいやがっても男の子がセックスしたがるのはしかたない。
12 女の子のNOは、ほんとはYESだ。
13 女の子がどうしてもセックスはいやなら避けられるはずだ。
14 セックスのとき男の子が避妊したがらなければ、女の子は無理強いできない。
15 女の子のほうから避妊してなんて言ったら嫌われる。
16 避妊なんてかっこ悪い。
17 相手のことが好きなんだから、相手の行動をしばってもかまわない。
18 相手をおとしめるようなことを言ったりばかにしたりどなったりすることは、暴力のうちにはいらない。
19 暴力をふるう人が心から反省し、もうしないと誓うなら暴力はやめられるはずだ。
20 暴力をふるう人は精神病質者だ。
21 デートで男の子のほうがお金を払ったら、女の子はセックスに応じるのは当然のことだ。


●自分の態度・行動チェック●

 以下はすべて相手に対して力をもち支配しようとする行為ですから、自分の態度行動を見直してみる必要が
 あります。
あなたは相手が自分の意見に従わないといらいらしたり怒ったりしますか。
あなたは相手が自分だけでなく、他の人とも仲良くしているのにときどき嫉妬しますか。
あなたは相手がどんな人とどんな話をしているのか気になりますか。
あなたは相手に、何をするか、誰と話すか、どこへ行くか、何を着るか、などについて指示する権利があると思っていますか。
あなたは相手に向かって「俺とあいつのどっちが大事なんだ!」という言い方をしますか。
あなたは腹を立てたとき、相手の目の前で物をたたいたり、壊したり、投げたりしますか。
あなたは腹を立てたとき、相手の腕や肩をつかんだり、押したり、たたいたりしたことがありますか。
あなたは、あなた自身の問題や自分がいらいらしていることを、相手のせいだと責めたことがありますか。
相手がしたことをとがめるとき、あなたはたたいたりしたことがありますか。
あなたは、男性がいつも女性をコントロールしなければと思っていますか。
あなたは、女性は男性に劣っていると思いますか。
あなたは、女性は男性の所有物だと思いますか。
セックスのとき相手がコンドームをつけてというのにつけないことがありますか。
相手がセックスをほんとうはしたくなくても、自分のことが好きなら応じてくれるはずだと思っていますか。
あなたは自分が気にいらないことを相手がしたとき、からだへの暴力をふるったことがありますか。。


●相手の暴力的態度の見分け方●

 多くの被害者が自分のされていることになかなか気づけません。(中略)
 次の質問はそんなあなたに気づいてもらうものです。
 これらすべて相手に対して力をもち支配しようとする行為です。
相手はあなたのことを「バカ」「うざったい」「汚い」「アバズレ」など、人をおとしめるいやな言い方で呼びますか。
相手はあなたが他の用事で会えなかったりすると、自分を最優先にしないと言ってふてくされたり、怒ったりしますか。
相手はあなたが誰と話すか、誰と一緒にいるか、知りたがりますか。
相手はしょっちゅう携帯に電話してきて、あなたがどこで誰と話したり会ったりしいているかチェックしますか。
あなたは相手が怖いですか。
あなたの態度についてデート相手は謝ることが多いですか。
相手はときにはとても優しくて、ときにはとてもいじわるでいやな態度をみせますか。具体的には「俺にはおまえしかいない!」とやさしく言ったり、「おまえはどうしようもないバカだ」と言ったりしますか。
ふたりがけんかしたとき、相手は「おまえが怒らせるようなことを言ったからだ」とか、「気が短いことを知っているはずだ」とか言ってあなたを責めますか。
相手はよくあなたに、「つまらないことにこだわってうるさい」とか、あなたが何かについて話そうとすると話をそらしたりしますか。
相手はよく約束を破りますか。
相手はあなたの携帯をチェックして、異性の友だちのメモリを消せと命令したり、勝手に消してしまったりしますか。
相手は「俺のことが好きならいいだろう」とあなたが気が進まないことをさせることがありますか。
相手はセックスを無理強いしますか。
「コンドームをつけて」というと相手は嫌がりますか。

<補足>
三つのチェックリストの内容をよく読むと、人を支配するとはどういうことなのか、
また、支配されているとはどういう状態なのか、ということが浮かんでくると思います。
DVは一つの要素だけでおきるものではありません。いろいろな要素がからみあっておきるものです。
著書は若い人むけに一部漫画も入れ、どう考え方を変えればいいのか、分かりやすいものになっています。

デートDVの実態について内閣府の初調査の結果が発表されたことを受け、
毎日新聞2008年1月24日に記事が掲載されました。
『交際相手の支配的な態度に違和感を感じながら、交際を続けている若者が少なくない。
中には、「デートDV」(恋人による身体的もしくは精神的、性的な暴力)の域に達しているケースもある。
内閣府の調査結果を参考に、実態と対応策を探る。【記:望月麻紀】』。
是非ご一読ください。 −SORA−


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