婚費調停とは


加害者は生活費を渡さないという行動にでることがあります。
それに対し家裁に婚姻費用の調停を起こすことができますが、
被害者は加害者に対し何か行動を起こすということは、なかなか困難な面があります。
いつも言うことを聞かされていた人が自己主張、それも調停を起こすなどという
ことは非常に大きなエネルギーを必要とすることです。
実際の婚費調停に関わるあれこれを参考になさってください。
 




■「婚姻費用の分担」ということについて   ■「婚姻費用の分担」の求めかた
■調停にどう向き合うか  1.調停で弁護士を立てるかどうか 2.調停を起こすつもりであることを事前に相手に伝えるかどうか



「婚姻費用の分担」ということについて
夫婦である以上、お互いを扶養する義務があるということが前提です。
別居していても夫婦である以上、この前提は崩れません。

ですから妻が無収入だったり、妻の収入だけでは生活が困窮するような場合は、夫は「生活費を払わなければならない」のです。

つまり、婚姻費用(平たく言えば生活費)は、結婚している以上、夫婦の現在の状態やこれまでの経緯に一切関係なく請求できるということです。

このことを知らない被害者も多いと思います。
   ●法律が被害者を守ってくれることを知ってください!
   ●生活費をもらえないことに甘んじなくていいことを知ってください
   加害者は法律についても勝手なことを言う場合があります。。是非【法テラス】などをご利用ください。



「婚姻費用の分担」の求め方
申立は家庭裁判所にします。
もし別居している場合で、相手が同じ家裁の圏内でない場合は相手の居住地を管轄する家裁へ申立をします。 (原則として、相手の地域の家裁での調停となります。)

求め方には、二通りあります。
  1.「調停」から入る方法
  2.「審判の申立」から入る方法
     ※審判の申立というのは、調停を飛ばした方法で、緊急を要するときなどに使われます。
      またこれは調停なしの裁判所の判断ということになるので、相手に与える影響も大きい
      ということなので、まずは調停から入るというのが普通のようです。




調停にどう向き合うか
【弁護士を立てるかどうか。夫に事前に調停を起こすと伝えるかどうか】
  被害者が自分から事を起こすにあたっては不安も大きいものです。
   このことについて大きく2項目に分けて書いてみます。



1.調停で弁護士を立てるかどうか
     弁護士を立てるかどうかはあなたの自由です 
     
    ★弁護士と契約するということは。
      弁護士は依頼人の代わりに調停の場に立つことができる
       つまり、場合によっては依頼人が調停に行かないでも良いということです。
       ただし、調停委員には、申立本人と会いその人から直接説明が聞きたいと望む人
       も多いし、また調停委員からの質問に弁護士では返答できないこともあるので、最
       低最初の一回には本人が出席することが望ましいです。

      弁護士には権威と手法がある
        これは、『調停委員にもいろいろなタイプの人がおり、年配者も多い。中には居丈
        高な人もあり、申立人が言いたいことも言えない状況になったり、「あなたももう少
        し我慢したら」とか「あなたにも悪いところがある」という話になったりすること
        もある。
        そうした場合、権威と手法を持っている弁護士がついていることが有効となる』わけ
        です。
     実際のところ、調停委員にはお粗末至極な人もいます。調書を読みもしないで、脇へどけて、「ま
        あ、夫婦の問題はボタンの掛け違いだから、もっとお互いによく話しをして・・・」!
        そんなんで済むんなら調停なんかにくるかい!!!というような話ですよね。
        これは二次被害以外の何ものでもありません!


      弁護士との契約には費用がかかる
        弁護士費用については、いろいろなケースで違ってくるので予想が難しいけれどゆ
        とりを持って5〜60万くらいは考えておいたほうがよさそうです。

     弁護士を立てずに自分で調停に望む人もいらっしゃいます。
        費用と精神的負担などを秤にかけて弁護士との契約は考えると良いと思います。



  2.調停を起こすつもりであることを事前に相手に伝えるかどうか
     いざ調停を起こすとなるとパートナーにそれを伝えるかどうか、結構悩まれることでしょう。
        それまで散々脅されているので夫に怯える気持ちが強く、「いきなり」調停を起こしたら
        夫はどうするだろう、とか「夫は対面をつぶされたと思うおだろう」とか気持ち乱れるこ
        もあるでしょう。

      その他、「対面を重んじる相手だから、いきなり調停の通知がきたら怒り狂って何をしてくるか
        わからない。逆に「このままでは調停を起こすしか方法がない」と伝えれば生活費を送ってくるかもしれな
        いし、「これまでおとなしくしていた妻が調停も辞さないという決意を知れば、自分のやったことを見直すか
        もしれない」などということも思うかもしれません。

    ★以下のような考えも参考になさってください。

      相手方に伝えるとした場合、調停を申し立てられると嫌な人は払ってくるし、調停
       を申し立てられてもどうでもいい、かまわない、という人は払ってこない。

      伝えた場合、「申立をしたら絶対に払わない」というようなプレッシャーをかけて
       くるような人もいる。

      相手方に伝えないで調停を起こした場合には、相手によっては、グチグチしつこく、
       「どうして黙ってやったんだ」と言い続けたり、より嫌がらせをする場合もある。

      「いきなり」というのは、相手に『生活費が足りません』というようなことを一言も
       言わずに調停を起こすような場合に言うのであって、再三「お願い」してきた挙句
       なのだから「いきなり」とはならない。

      調停を起こすと言われて払うような人は信用できない。

      そういう人は一旦は払っても、また自分の気分次第で払わなくなったりする可能性
       も高い。

      安定した生活をするために、調停の申立をしたほうが良い

      相手が何か酷いことを言ってきたり、してきたら、それは自分にとって有利な記録
       になる、くらいに考える。

     パートナーからいろいろな縛りを受け、パートナーの言うことを絶対としてきた生活から、一転、自分の生
        活を守るため婚費請求の調停を起こすことは、大きな決断がいることです。
        しかし、私達には「安定した生活」を送る権利があるのです。

        これまでのように、夫がどう思うか、夫がどう行動に出るかということを自分の行動の基準にするのではな
        く、私がどう思うか、私が何をしたいのか、で物を考え、自分の行動の先に不安を見て足をすくませるので
        はなく、とにかく自分に今できることをしていく、ということは夫からの精神的自立のきっかけにもなり、
        また、自己決定権の回復につながる大事なことなのです。



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